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家と不動産について

本章では、家をはじめとした不動産について触れます。不動産は資産である、という認識が成立したのは過去の話。今となっては負債となる可能性の方が高いと考えざるを得ません。持ち家なのか賃貸なのか、あるいは実家の不動産をどう考えるか、といった点について考えます。

納得・理解して買う分には良いです。何が何でも賃貸が良い、というつもりはありません。しかし、逆に「家は持って当然である」などの言説については本当だろうか?と考えてみて欲しいのです。この本でも、いくつかの「あたりまえ」が本当か?という切り口で取り上げている章がありますが、ここも同様です。本当に必要か、購入/賃貸のメリットデメリットは何かを冷静に考えて欲しいのです。

家は賃貸がいいの?持ち家がいいの?

あなたが今住んでいるのは賃貸ですか?持ち家ですか?一人暮らしの方、実家はどちらでしょう?

持ち家信仰が生じたのはわずかに数十年の話だそうです。その歴史や背景については深く触れませんが、持ち家が普通になったのは案外最近の話であるということ。家を売ることで儲けるデベロッパーや不動産屋の思惑が相当に絡んでいるということも留意する必要があります。

もし、賃貸と持ち家でどちらかに圧倒的にメリットがあるなら、みんながこぞってそちらに流れていることでしょう。あるいは、どちらが得かといった議論は生じません。あるいは市場原理的には、バランスする費用レンジに落ち着くでしょう。例えば、賃貸に超絶大きなデメリットがある場合、賃貸価格は下がります。どちらが得か即答できないということ、また持ち家の人と賃貸の人両方が存在するということは、共に同程度のメリットデメリットがあるということです。

さて、住宅(マンションや戸建て)のチラシを見たことはありますか?綺麗な室内と、オサレな外観、居住空間としていかに素晴らしく生活に便利かといった言葉が並んでいます。そして、支払いシミュレーションが記載されていることでしょう。「35年ローンで月々いくらです!」という試算や、「今の家賃と比較してください!」という決まり文句もありますね。そして、あなたは、「今の家賃と比較して同じくらいだし、ローン払い終わったら資産になるしなー」と考えて、そのおうちが欲しくなるかもしれません。欲しいから買う、というのも良いものですが、なんとなく買ってしまうと「思ってたんと違う」感が生まれてくるでしょう。そして、住宅は人生における大きな買い物・選択であることは間違いありませんので、よく考えて決めてください。

持ち家の落とし穴をいくつかあげておきます。

ローンを払い終わったら資産になるか?

ローンを支払い終わったらあなたの資産になります!という煽り文句、ほんとうでしょうか?よくチラシに書いてありますよね。

一面は確かにそうです。あなたが所有する建物自体はありますから、ローン返済が終わってしまえば、その後費用発生することなく住み続けることができます。賃貸において、常に家賃として支出する必要があるのとは確かに異なります。

ですが20年や30年経過した家はあちこちにガタがきており、リフォームや大規模修繕をする必要があるでしょう。数百万円規模のリフォームを入れる必要がある場合もあるそうです。リフォームを入れないと住めない持ち家は資産と呼べますか?負債ではありませんか?

また、30年もすると、家族構成・状況は大幅に変化しています。例えば、夫婦+子供2人がいることを前提にした家も、子供は独立をしそろそろ段差がキツくなってきた夫婦がいる、なんていうシチュエーションは容易に想像がつきます。全体にくたびれてきて持て余し気味の家。これを資産と呼べるでしょうか?

もちろん、30年後に(ローンを払い終わったら)住むにあたって、家賃を支払う必要がないという点はメリットと言えるでしょう。しかしそれまではローン支払いが生じます。お金が出て行くという意味では同じです。家を買うことで、2千万とか3千万の現金・資産が拘束されます。ローンは借金ですから、基本的には早く返そうとして現金資産をつぎ込む必要があります。結果として、その間に得られた金融資産運用が不可能になり、トータルでのキャッシュフローが悪化する可能性があります。また、リストラにより収入を失ったとしたらどうでしょう。賃貸なら小さいところに引っ越して固定費を削減するなどの対策のとりようもあります。購入した場合は相当困難が生じます。

さて、もしローンを支払い終わっても大きく資産価値が残るなら、初期費用はもっと高くなる、あるいは、中古住宅などの市中価格は上がるでしょう。そうなっていないということは、残る価値がほとんどないということ。実際には不動産業界の志向により不当に下げられている気もしますし、一定ニーズはあると思うのですが・・・

また、特にマンション、アパートなどでは修繕積立金や管理費がかかります。この費用もかなりの額であり、しかもこれはローン返済には寄与しない部分です。したがって、月々返済額とは別に支出する必要があり、思ってたより毎月の収支が厳しいということになりかねません。もっとも、戸建だって維持費はかかります。そういう意味で、チラシに書かれていないことにも想像を巡らせて比較することが重要です。

居住地が固定されるリスクは大きい

家を買うと、基本的には居住地はそこに固定されてしまいます。転職や転勤や会社の勤務時間の変化などにより住む場所を変えたくなっても、持ち家ならばおいそれと居住地を変更することはできません。

これに対し、賃貸ならばむしろ、適宜そのときのライフスタイルや職場などにあった場所、家、間取りを選択することができます。

また、例えば隣がアレな人だった場合はどうでしょう。あなたに責任、瑕疵がないことは事実ですが、だからといってその人がいなくなったりアレなことが止まるわけではありません。賃貸ならばそういう最悪な事象に遭遇したとしても、引っ越してしまえばその影響はなくなります。

子供の学校など、簡単に変えることのできない環境もありますので、固定されること自体が全てダメというつもりはありませんが、賃貸より動きづらくなることはあきらかでしょう。

やっぱり持ち家がいい点

持ち家を購入することで、「自宅」というホームができることは大きな心理的なメリットかもしれません。ですからハウスメーカー、不動産屋、デベロッパーなどはあの手この手で家を買いましょう、というキャンペーンをうちます。フラット35などの経済政策を国が打つのも、持ち家を購入する人が増えることで建築需要により経済が回るからというのは大きな理由の一つでしょう。

持ち家ならば壁を汚しても大丈夫。DIYで壁にネジ穴を開けるなども特段問題はありません。持ち家とすることで自由度が上がることは確かです。壁紙張替えや作り付けの棚を設置するなど、それは楽しいものです。

持ち家を取得するにあたりローンを組む際に、団体信用生命保険(団信)への加入が必要になる場合がほとんどです。これは住宅ローン専用の生命保険で、ローン契約者(ここでは購入者)が死亡したり重度の障害を持つ状態になった時に、ローン残高を棒引きする仕組みです。ローン契約者が死亡、あるいは高度障害により収入を失った場合でも、残された家族が家を失わなくてすむようにする仕組みです。

団信の是非はこれ以上触れませんが、普通の病気などは保証されませんし、健康に不安がある場合にローンを組めない場合があります。

さらに賃貸では、高齢者への貸し出しを渋るという傾向があります。孤独死などにより部屋を汚損されるりすくもありますし、その結果として事故物件となってしまい家賃を下げざるを得なくなるなど、理解できる面はありますが、超高齢社会になる日本で今後どうなっていくかは興味のあるところです。一方で、持ち家ならそのリスクはありません。

今後住宅需要は低下する

今後、住宅需要は低下します。人口が減るから、今ある住宅が余るからです。ただし、首都圏の中心部のみは、集中が続くためそう簡単には下がらないかもしれません。首都圏といえど、少し離れた地区、現在ベッドタウンなどと言われる地域は今後急速に住宅価格が低下する可能性があります。結果として、家賃相場、住宅相場もさらに下がり、結局どっちでもいいよ、好きな方でいいんじゃない、という風潮がさらに強まる可能性があります。

購入の相場が下がってくると、拘束されるお金のインパクトも相対的に低下します。たとえば、今の相場だと30年間の家計が拘束されるのに対して、住宅価格が1/3になったとことで家計が拘束される期間が10年ですむようになったとしたら、住宅購入はもっと気軽なものになるかもしれません。あるいは中古住宅の市場がもっと活況になり、供給が多くなる、あるいは建物寿命が長くなり残価値が十分に存在するような状況になったら、購入はするけれど適宜住み替えていく、などといった形がもっと一般化するかもしれません。住宅価格が上がり続ける状況においてはそれが成立しました。購入した住宅が買った時と同じくらいで売れる状況があるならば、住宅を買ってしばらく住んで状況が変わったら手放すという身軽な状況が生じます。

いずれにせよ、今後いかなる状況の中でも「住宅は持たなきゃいけない」「住宅を持って一人前」などを強く主張する人がいたら、それはその人のポジショントークであり、何か思惑があると考えてください。もちろん、逆もしかりで、「住宅を持つのはオワコン」をやたら強く主張する人も怪しいです。

もちろん、家を買ってはいけないという話ではないです。賃貸万能というつもりもないです。

不動産は資産か?負債か?

不動産は資産であるという考え方があります。特に中高年以上に多いです。今もそうでしょうか?今となっては、都市圏でもなければ、大抵の場合は負債と化していることの方が多いと感じます。

最悪なのは、田舎の土地です。農地はまだ良いですが、山林は一切お金を産まず、それどころか固定資産税として毎年赤字を垂れ流します。土地境界も曖昧で、係争のタネになり得たりしますし、相続・名義変更が確実になされていないなど、八方塞がりであることが少なくありません。相続がされていない場合、相続をしようとすると、名義人の子全員、子がいなければ継承べき孫と利害関係車がどんどん増えていきます。分割することができれば良いですが、その協議すらままならないところ。田舎であれば、直系の長男が継ぐことがいまだに多いとは思いますので、例えば曽祖父(ひいおじいさん)の名義を継承するとしましょう。祖父の代の兄弟が存命であれば、菓子箱の一つも持って「直系長男である私が相続しますので、相続放棄にご同意ください」という話が通じる場合も少なくないと聞きます。しかしどんどん世代が下っていくと、あるものはもらいたい、あるいはその分カネをよこせ、あるいは連絡がつかないなど、とにかく手間が増えます。関係者が鼠算式に増えるので、その時々に的確に継承あるいは放棄の手続きを進めていくのがベストです。そしてこのことは、知っていると知らないとで手間が決定的に変わります。もちろん実務については司法書士に相談するのが良いですが、それも相当なお金がかかります。

環境別家電選び

”家”についての話に関連して、家電選びについて述べたいと思います。家事を楽に済ませて、その時間を有効活用しましょう。

一人暮らしの家電選び

なお、料理、掃除、洗濯はそれぞれ別のスキルであるから、自分でやりたい人向けで全てを揃える必要はありません。例えば料理はしたいが洗濯はしたくない、などの場合は、冷蔵庫などは自分でやりたい人向け、洗濯機は家事をほとんどやらないタイプ向けを選ぶなど、柔軟にご対応ください。

自分でまでやりたい人向け

  • 冷蔵庫

少し大きめ、冷凍庫広めをチョイスしたい。食材を無駄にしないためにも!

  • 電子レンジ

オーブン機能が必要なければ、壊れにくい電子レンジ機能のみで。

  • 洗濯機

縦型で十分。ワイシャツのようなアイロンがけが必要なものは、割り切ってクリーニングに出してしまうことも検討を。

  • 掃除機

ハンディタイプで十分。お部屋が広いなら普通の掃除機でも。フローリングのみならワイパーだけでも平気。

  • 電気ケトル

一瞬でお湯が沸くので便利。転がすと危ないので、置き場所には注意。カップラーメンとかちょっとしたスープなどにも便利。

家事をほどんどやらないタイプ向け

  • 冷蔵庫

飲み物とかが冷やせればいい。最低限の機能のラインで選べればよいが、自動霜取機能はあると便利。

  • 掃除機

自動掃除機(ルンバとか)。と言いたいところだが、床が散らかっていると役に立たないので、コードレスのハンディタイプをおすすすめします。

  • 洗濯機、電子レンジ

好みで。コインランドリーやコンビニの温めで済むなら不要。

子育て世代の家電選び

特に親族に頼れない、パパママだけでどうにか乗り切るためのお勧め家電。 機械にお任せできるところはぜひアウトソーシングして、子どもとの時間を大切にしてほしい!

  • 冷蔵庫

冷凍庫広め、できる限り大きいサイズのものを。余裕があるときは作り置きも保存できる。1週間分まとめて食材買い置き派にも心強いです。冷凍庫は二つ以上に別れている方が良い。

  • 洗濯機

ドラム式一択。特にヒートポンプタイプの乾燥機の方が省エネ。ただし、置き場を選ぶので、賃貸の場合は家選びの時にケアしておくと吉。

子どもの食べこぼし、嘔吐、おねしょ…などなどで洗濯の頻度と洗浄力が問われることが多いので。保育園に通い始めると、1日2回洗濯機を回すこともざら。縦型の乾燥機能はほとんど役に立たないのでやめよう。コインランドリーが近くても運ぶ手間が惜しい!ガス式の独立型乾燥機はものすごく良いが、ガス工事が必要なので大変だし、洗濯物の寿命が短くなる。

  • 掃除機

普通の掃除機+ハンディタイプがあると便利。食べこぼしにストレスなく対応できます。ものを減らしたい場合は、コードレスのハンディタイプの方を優先したい。

  • ほったらかしても調理できる器具

子どもに手がかかって火の始末が心配な方、あると便利ですよ!(ちょっと大きいけど)

  • 電気ケトル

非常に便利で、一瞬でお湯が沸くので使い勝手は良いが、子育て世代には危険がある。倒れると熱湯が漏れるので重度のやけどのリスクがある。子供がある程度小さいうちはしまっておいた方が良い・・・

  • オーブントースター

オーブントースターがあると、トースト以外にも、焼き物系、ちょっとした加熱が便利。フライや天ぷらは電子レンジではべちゃっとするので、オーブントースターの方が美味しくできる。電子レンジのオーブンは滅多に使わないが、オーブントースターはあった方が良い。

  • ネットスーパー、宅配(生協など)

買い物は案外面倒なので、毎週使う基本的な食材などは生協などの定期配送を使うと便利。近く/通勤経路にスーパーがない場合は買い物がかなり大変になるので、積極的に使おう。少し割高ではあるが、時間節約、工数節約と考えればお釣りが来る。特に妊娠中や子供が小さいうちは送料無料になったりするのでぜひ使いたい。